2024-08

価値観の違いに気づきながらも歩んできた日々。やがて別れを選んだふたりに残ったのは、温かくも切ない記憶だった。自由と寂しさが交差する夜に寄り添う、音楽と香りの処方箋。

日々の情報と選択の波に飲まれ、「もう、今日は決められない」と感じたとき。決断を手放すことで心に生まれる静けさに、そっと寄り添う音楽と香りの時間を。

色を失ったあの日の記憶は、今も体の奥に残っている。忘れられないのに、いつかは忘れてしまう。そんな矛盾する感情に、そっと寄り添うプレイリストと香りの時間を──。

心が重く沈むのは、今日もまた言うべきことを飲み込んでしまったから。波風を立てる勇気も、自分を守り切る覚悟も持てず、ただ黙ってやり過ごしてしまった。このままではいけないと分かっているのに。

置き去りにした仕事や約束を思いながら歩く帰り道。振り返る気力もない中で見上げた夕焼けに、少しだけ心がほどけた。焦燥感は消えないけれど、「ま、いいか」と思わせてくれる空に身を委ねる。そんな一瞬。